「『続・桃紅柳緑──アイツと一緒にいる意味と、独りでも戦う理由──』」
『続・桃紅柳緑──アイツと一緒にいる意味と、独りでも戦う理由──』著・sakuruさん
P32~第二章(7)
https://estar.jp/novels/25776855/viewer?page=32
挿絵描かせて頂きました。
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「……君の理解力があれば、化学だけができないっていうのは合理的に考えてもおかしいと思うだろう? つまり自分の思い込みで、実力以下で抑え込んでいるだけだと思う。だから、化学は面白い、って毎日呪文のように唱えておけば、それで他の科目同様、できるようにになるよ」
藤城先生の言葉に、俺はずいぶんと間抜けな表情を浮かべていたのだろう。
そんな俺の表情を見て、くすりと藤城先生は秀麗な瞳を細めて笑い、額を指先でつつく。
「藍谷くんはそれだけ優秀ってこと。自分を信じて、呪文だけ唱えておきなさい。それだけで次のテストは90点超えてくるから」
そう言うと、先生は目を細めて笑顔を浮かべた。
「藍谷くんみたいな優秀な生徒は教え甲斐があるからね。わからないことがあればいつでも教える。いつでも大歓迎だよ。気が向いたら遊びにおいで」
くしゃりと柔らかく最後に頭を撫でられて、なんだか子供みたいで気恥ずかしい気持ちになってしまって、俺はそのまま頭を下げると、化学準備室を出た。
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小説お借りしています。
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