「小説表紙『RUN!RUN!RUN!』」
小説『RUN!RUN!RUN!』著。晴れ時々猫さん。
https://estar.jp/novels/24873491
https://fujossy.jp/books/3604
表紙絵描き直しました。
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「忘れたい恋がある。忘れたい思い出がある……。嵐が、塗り替えてくれ……」
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兄ちゃんが帰ってきてから、三ヶ月。
何処にも行かないと、兄ちゃんは叫んだ。無理するな、我慢しなくていい、と。
嬉しかった。優しい兄ちゃんを、また好きになった。
けど、何処にも行かないから、という言葉は、何処にも行かないで、とも聞こえて、気がつけば家を飛び出していた。
まだリビングにいる親が驚いて声をかけてきたが、俺は裸足で道路へ飛び出し、その先にいる兄ちゃんを力の限り抱きしめた。
小さい。けど、華奢ではない。
温かい体温。すごく優しい温もりだ。
「……好きだよ……っ、離さないから……!」
そっと背中に回された手は、まるで俺を慰めるように優しかったけど、兄ちゃんの"兄ちゃんとしての糸"が緩むと、俺の肩口に頭を預け、背中の手は……寂しそうに震えて強く俺の服を握りしめた。
聞き間違いじゃないんだ。
何処にも行かないんじゃない。何処にも行かないんで欲しいんだ。
無理してるのも我慢してるのも、兄ちゃんの方。
そうなんだろ?
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(小説お借りしました)
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