「小説挿絵『雨やどり』」
小説『雨やどり』著・kotaさん
https://estar.jp/novels/25092045
P14~【あまやどり(9)】
https://estar.jp/novels/25092045/viewer?page=14
挿絵描かせて頂きました。
****
動悸が収まりつつある胸に去来したのは、俺は何をやってるんだろうという自嘲と、未遂で終わって良かったという安堵だった。冷静を取り戻した頭で、これでよかったのだと、何度も自分に言い聞かせた。
さすがに、今の自分に、例え不可抗力でも、このまま恭介の腕の中で眠りにつく資格はない。
背中に回された腕からそっと抜け出ようとしたところ、耳元近くで呟かれた声に動きを止められた。
「……さく…………、」
呼んだ形のまま唇が弧を描いているような優しい声色に、全身の肌が粟立った。
直後に規則正しい寝息が再開されたから、どうやらこれも寝言らしい。
どんな夢でもいい。
今、夢の中の恭介が抱きしめているのは、この俺だ……。
そう思うと、その腕の中からどうしても離れられなくなった。
****
小説お借りしています。
ファンレターはありません