「『魔王』表紙デザイン」
伊坂幸太郎先生の小説『魔王』の表紙デザイン案です。
『魔王』の主テーマは自分自身で考えることの大切さや、何となく周りの雰囲気や考えに流されていってしまうことの恐ろしさであると私は感じ、それを元に表紙のデザインをしました。
イラストでは、雨が降っているけれど、ほとんどの人が傘をさしていないので、それに合わせてそのまま濡れて歩いている人々の様子を描きました。
また、作中で、他国で起きた事件に対する感情が高ぶり、その国に関連する施設や人を攻撃する人間が出てくる、という描写があります。
その場面と結び合わせて、物事を深く考えないで流れに飲まれて生きていると、人間はいつか無自覚に人としての倫理や道徳からはみ出した存在になってしまうことがあるのではないか、と思いました。
そのような人間の恐ろしさや哀しさが伝わるようなデザインになっていれば幸いです。