１、大岩魔の迷宮
土曜の干潮時、掟破りの少年ボッが浮かぶ巨岩島ドーラへと歩き外周に見つけた亀裂から林を探ると”油売りドレの館”が現れた。館は非番の様子で、ガラス戸から入るボッの足が主の蒐集した「呼吸する大古書画」の口を抜けるたび、まるで時間と空間が入れ替わり、ボッは時を得たようだった。

２、世界地図 No.3
油売りドレはかつて集めた古星図を編纂し湖大にして息を与えたが手に余り再び割った。やがて時が流れ彼の複世界図は徐々に別の奥行きを語りはじめる。その境面に定めた法は単純な案の組にもかかわらず主以外は解けない暗号と化した。しかしこれも時により内側から解かれつつあった。

３、ものが飛び上がらない理由
ΔS＝ΔE/T（ときに人は「もの」であろうとするし『ものであるべきだ』と考えもする。——“竿竹屋はなぜ潰れないのか？２～強盗を尋ねて三千里、はっぱふみふみ後醍醐天皇～”より引用。）要約すると「小惑星、待ったなし。」＝「選ばれた星」という、いわばエールなのである。

４、詩人のフォーク・ダンス
大古画の地下、ナナシ沼のつめたい雨に誘われて舟を浮かべる。叢を開くと、停滞した雲に連なる葉に眠っている爪を見つけた。その指を登れば、詩人は鎌首を上げ「今、おれは悲しい」そして考え込み「ここにない」だが、剣をかざすと、詩人は魂を追う祈り子よろしく、口を開く。

５、けむりの冠
叢を嘲笑が焼くと蛇行する詩の河は裸になり彼の言った果てに立つ豚脂城を少年は目指した。城では叫び声に屋根へ登ると膨むチューインガムの穂に囚われた子が三人。ボッは、穂を借り4人は空を飛ぶ。すると雲を動かす風の法規がガムに古い印を輝かせ、開いた目は捨てられた塵の塔を明かした。

６、似た力
古紙の匂い満ちた塵の塔。長大な鸚鵡の歌が響き、３人が攫われた。ボッは、壺でまどろむ自らの双子を覚まし、鸚鵡狩りに川上を目指す。だが、山腹で画廊に襲われ、渦巻く蛍の光に言葉が砕けた。しかし絵から顏の無い男が現れ言った「これから、槍であの鸚鵡『ゴドー』を射よう」

７、巨人チャーリの筏
チャーリは拝金犬レオニの家畜として生まれ適当な罪で処刑される度に笑言を生んだが、有名なのは安売りされていた一族皆殺しの罪を着て長乳首の処女マーリンの前で告白した「トナカイジゴクグルマァ！！」であり、彼の首輪にも記され箴言としてコーヒーと共に語られたりもしている。

８、朝９時ごろの参画
「今日の遭難者はお前か」十三の山に名を轟かせる剣豪で不審者でもある通称チビ爺ことパックが、孫であり12歳で高さ180㎝の乙女ピッピとともに現れたが、ボッと双子と槍男の三人は、警戒せずすぐにパックの巨大な鏡の盾を支え、彼の愛獣キメラにて『写真』を撮影することに成功した。

９、黒い生クリーム
まだティーンにも満たない180㎝女ピッピの故郷マタイコウネには「火打石の杯」と呼ばれるモーセもびっくりの大地の穴があり、その中心に巣くう有史以前より埋まれる女巨人サージの伸び続ける髪は『地球のことは考えるな』という偉大なメッセージとして、今も約10⁶人に支持されている。

１０、続パック夜話
６万年前。サージの左目は星の裏にある船の墓で、海と木屑と稲妻を混ぜ合わせて七体の王を作り、互いに争うことを命じた。だが、王たちは海に潜りそれぞれに隠れたので「左目」は王を探し海水を空に捨て続けた。そうして陸ができた。だが王は誰一人見つからず、やがて左目も海に消えた。

１１、セーブ・教室
次々と地球の為になる話をしてくれるパック氏（82）背中のソードは、かつて掃討した大蛸の吸盤により装着されているが、水垢のためまめに清掃が欠かせないという。「まるで塩化ビニル製のようじゃ」しかし笑ってみせたかと思うと「これから武術を授ける」と言い、真剣な目で男を見る。

１２、映画スター
なんと、パック爺が教授する術は西方はオウミの地より伝わる「甲賀流」だと言う。しかし当の翁は目蓋を閉じ、現れたのは「Λ」のような形をした下半身の影のみ。男は剣を手に、丸太の階段を登り、月光が照らす枯れ木の回廊に古いストロボアニメ映画のように跨って走るその影を追った。

１３、Λ 1-8 31 MOMOHIKI
雲が月を隠しては去る。影との戦いは夜通し行われた。切ればそこから二本の足が生えすぐにムカデ形になり持久戦になった。男が疲れ切ったころ「Λ」と名付けたその影は百三十一本足になっていた。しかし男が倒れると同時に朝日が昇り、林のコントラストに影は滲み、溶けていった。

１４、４、５人のパートナー
炎天下、仲間連れでピッピが男の前に現れ「イワシの…死体です…」バケツを見せるとウツボが顔を出し悔しそうに「この薬缶の蓋メッチャ黴くさいよ。」わけがわからずにいると高級納豆の恰好をした双子が「槍男は山へ…」主人公「彼を追おう」ウツボ「がんばらにゃ」誰だお前は。