「小説表紙『ジェントルマンズショコラ』」
『ジェントルマンズショコラ』著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/24513020
表紙絵描き直しさせて頂きました( *´艸`)
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「木崎さんが俺に何を期待して今夜誘ってきたのか、何故そんな……身の上話をしてくれたのか、正直わかんないけど、俺は木崎さんの思うような“きちんとした恋愛”を教授できるような人間じゃないですよ。エッチがしたいなら、いくらでも付き合いますけど、木崎さんは俺に何をして欲しいんです?」
俺の質問に、木崎さんは瞳を泳がせた。そして、最終的にしょんぼりと俯いてしまう。
今まで話し相手になってくれていたネット仲間を失った木崎さんは、きっと俺をそこに充てるつもりだったのだろう。少しでいいから話を聞いて欲しいとか、慰めて欲しいとか……。
でもごめん。俺じゃ無理だ。「もっとうまくやれよ、馬鹿」って思ってしまうから。
木崎さんは俺の質問に長らく沈黙を続けた。もう帰ってもいいかな、と本気で切り出そうとした時、まるでそのリミットを知っていたかのように彼は口を開いた、
「……私は……、きっと……笑い飛ばして欲しかったのだと思います」
そう言って泣きそうな笑顔を見せた木崎さんに、俺は衝撃を受けた。
笑い……飛ばす……?
「“こんなに不幸だ”、“こんなに不運だ”と、自分を哀れんでは、“大丈夫、大丈夫”と慰めて……。でも、明智さんなら……“もっとうまくやれよバカ”って、面白おかしく笑ってくれるのではないかと……、そう……期待していました……」
そこまで言うと、木崎さんは俺に見えないように涙を拭い、すみません、と謝ると、すぐに無理やりの笑顔を作り「家まで送らせてください」と車のライトをつけ、シフトレバーをドライブに入れた。
待ってくれ……。なんだよ、それ……。なんでそんなこと言うんだよ……!
「木崎さん!」
まだシフトレバーを握ったままの彼の手を慌てて掴む。
涙の滲んだ瞳が俺を捉え、一秒……──。
俺は木崎さんと今夜一緒に過ごすことを決めていた。
「ホテルに行きましょう。お望みならば、……俺が……いくらでも笑い飛ばしてあげます」
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小説お借りしています。
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