2000字文学賞「ホラー小説」 結果発表

NOVEL DAYS × tree

2000字文学賞「ホラー小説」

結果発表!!

 

受賞作

 

ケイジさん

オリジナルの都市伝説仕立てのホラー小説です。

対処法の確立した他愛も無い都市伝説を、思いもよらぬ方法で転化し、一層の怖さを引き出すアイデアが非常に秀逸でした。

怖い一方で、こうしたことが起こっているからこそ、この都市伝説は広がっているんだな、と納得させられました。

また、起承転結の運び方がうまく、あとを引く余韻も怪談として非常によかったです。


 

スミレさま

さく

望みが叶うというおまじない「スミレさま」を使って、同級生を呪うところから始まる学園ホラー。

予想外の怖い結末に驚き震え上がらされたのはもちろんのこと、少女らしい軽率さと、それによって引き起こされる結末という構造自体が、格別の怖さを生み出しています。

また、あえて描かれていない場面を否応なく想像させられるようになっているのも、短編賞ならでは。

力のあるホラー短編でした。



 

全体講評

夏らしい背筋のひんやりするホラー小説を多数ご応募いただき、ありがとうございました!

独創的な発想の作品や、現代ならではのホラーを見事に描いた作品が応募されていて、非常に(怖いながらも)楽しく読み進められました。

逆に、昔ながらの手法や王道的な構成を用いながらも現代の価値観に合わせてアップデートした作品も多く応募されていました。そういった作品では、昔の考え方や文化などが現代から見るとホラー要素に密接に繋がっていて、新しい怖さを生み出していました。小説が「時代に合わせて進化する生き物」であることを強く認識させられました。

受賞作2作品をはじめ、多彩な傑作が集まりましたので、読者のみなさまにもきっとお気に入りの一作が見つかるのではないかと思います。

あまりの怖さに眠れなくなっても責任は負いかねますので、あしからず……。




 

優秀作品

惜しくも受賞には至りませんでしたが、ぜひとも読んでほしい作品を紹介します。

 

まりつき 土井紀和

規定の半分の文字量で、スパッと書き上げられた鮮烈な作品です。

文章、内容とも端正によくまとまっているという印象を受けました。

鞠つきというのが少しモチーフとして時代感を感じるのですが、だからこそ絶望感が深まるという方向性にするという手もあったかもしれません。


 

嫁とり、御断り 白旗ラメント

登場人物の方言などの文章と民俗学的な内容が非常にマッチしていて、短編とは思えない奥深い雰囲気作りに成功しています。

これぞ創作民話系怪談という作品です。


 

 西乃狐

怖い話なのに、心に染み入る、とても独特な味わいがあります。

非常に安定感のある文章で情景や心情が描写されており、いつの間にか作品の世界に引き込まれます。

怪異とは、古来日常の隣にあったものなのかもしれないと思わされました。


 

佳作紹介

選考者が気になった作品をさらにいくつか紹介します。

 

あやかしばなし ~まじもの~ ざき

客観的にみるとAの考えもかなり納得がいくものになっていて、強い恨みの篭ったオチの迫力はかなりのものでした。

 

 

容疑者は依然、逃亡中 上山流季

中盤の和やかな雰囲気から、最後にホラー感をこれでもかと畳み掛けてくる展開に、思わず引き込まれました。

 

 

待っている masarusi-

人もまた、実は生物の頂点なんかではなく、何か得体の知れない「モノ」の手のひらの上にいるのかもしれない、と思い知らされるような作品でした。

 

 

湾岸チェイス(2000字ホラー) 加藤猿実

警官が死人増やすなとか、死んだあとまで張り合ってるんじゃないよとか、思わずそんなツッコミ入れたくなるようなコミカルなホラーでした。

 

 

もう1人の同居人 敏感肌トマト

カメラを仕掛けて、いざ、というところからの意外な真相。妄想から現実に一気に引き戻すストーリーの落差が面白い作品でした。

 

 

私と、電車のすき間の都市伝説 [2000字ホラー] Tempp

学生の怖いもの知らず感がよくキャラクターに出ていました。間一髪、友人に助けられるというところなどが「学校の怪談」を思い起こし、懐かしさを感じさせる作品でした。

 

脳ミソ相撲 黒実操

一見、滑稽な競技の様子が、少しのグロテスクさを混ぜるだけで途端に怖いものに変わるというところに王道の良さがありました。オチもストーリーに即した、実に「らしい」感じが出ていて良かったです。

 

 

復讐 佐野みむろ

謎のおじさんの異常さもさることながら、復讐するためだけに産もうと決意する主人公もかなり常軌を逸していて、人間の怖さがよく描かれている作品でした。

 

 

はりつく eototo

少しずつ不穏になっていき、最後にどうなるか分からないドキドキ感のうちに終わる。物語のその後に想像の余地があり、構成が上手い作品だと思いました。

 

 

目玉を拾ったら 霜月重宕

序盤からかなり童話的で、少し歪な世界の日常を描いた物語なのかと油断しているところにオチでリアルの読者を巻き込んでくるというギャップが面白かったです。

 

 

弁当箱 坂本 光陽

肉塊の表現や、語り手の恐怖が生々しく、後味の悪さもあって、嫌に現実感に満ちたホラー作品でした。

 

 

知りたくなかった 佳純

友人の下りなどで、チャットノベル形式の長所を見事に活かした表現が光っていました。読後感も良かったです。

 

 

【2000字ホラー】莉莉は墓の中 Tempp

日本の鬼ではなく、中国特有の悪魔に近い方の鬼を題材にした独自性の高い作品でした。オチのつけ方も昔話風で、子供向けの怖い寓話集にぴったりだと思いました。

 

 

雨夜の月 御桜真

猫視点にで祟られた主人と呪い殺そうと料理を作る霊を客観的に書いている点が新しいと思いました。客観的なストーリーなので直接的な怖さはあまり感じなかったのですが、ご主人様の能天気さと霊の恨みのギャップが面白い作品でした。

 

  

スプーン 白河夜船

子供のころに、スプーンを見た時に現れる歪曲した不思議な世界。そこにホラー要素を見出した発想が面白かったです。「最後まで読むと怖い話」を地でいくところも良かったです。


 

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